選択的夫婦別姓の盲点 ― 見えない危険性

世相の道

選択的夫婦別姓の盲点——背乗りと偽装婚が「資産流出ビジネス」に化ける前に塞ぐ三つの穴
論説 / 制度設計

選択的夫婦別姓の盲点——背乗りと偽装婚が「資産流出ビジネス」に化ける前に塞ぐ三つの穴

「姓の分散 → 本人確認の難化 → 例外処理の増大」という副作用が、犯罪の温床になり得る。制度は善でも、隙は必ず収益化される。自由を守るためにこそ、隙を塞ぐ設計がいる。

執筆:河瀬昌良 #背乗り#偽装婚#相続
本稿は別姓導入そのものを否定しない。導入するなら同時に防御設計が不可欠だ。問題の主体は「国籍」ではなく、「制度の隙を収益化する仲介・組織犯罪」である。

背乗りとは何か——現代的な“身分乗っ取り”

背乗りとは、他人の戸籍や身分を乗っ取り、偽の家族関係で権利を得る行為である。結婚・帰化・戸籍という「国が保証する制度」を通過することで、背乗りは一気に“合法化された権利”へと姿を変える。

なぜ別姓制度が狙われるのか

現行の同姓制度は、外形的には「同じ姓=家族」という即時判別が働いてきた。選択的別姓が普及すると、姓がバラけ、窓口・学校・医療・金融の現場で「姓の違う家族」が増える。結果、本人確認や親族確認の場面で例外処理が多発し、その“余白”が悪用されやすくなる。

技術的副作用(3段ロジック)

  1. 姓の分散で、外形的な家族判定が難化
  2. 照合が増え、例外処理ゾーンが拡大
  3. 例外運用を、偽装・背乗りが突く

データ不整合が招くほころび

旧姓・通称・本姓が混在すると、役所・銀行・年金の名寄せに齟齬が出やすい。ここに「仲介」と「送金ネットワーク」が重なると、発見が遅れる。

偽装結婚のビジネス化——“合法的”資産移転の動線

ブローカーは孤独な男性や高齢者、跡取りのいない家系を狙う。偽装婚を斡旋→在留資格・永住→帰化→戸籍上の配偶者として相続権を確保。不動産・預貯金が家族の手から離れ、外部に移る。これは単発犯罪ではなく「制度を利用した資産収奪ビジネス」である。

(参考:警察庁『令和6年における組織犯罪の情勢』には「偽装結婚」を用いた在留資格不正取得・電磁的公正証書原本不実記録等の事例が記載されています[資料PDF])

制度が“ビジネス化”される共通構造(比較図)
  • ① 公的制度(生活保護/婚姻・戸籍)
  • 例外処理ゾーン(審査・照合の隙)
  • ③ 仲介ブローカー/ネットワークの参入
  • ④ 成立後は回収・取消が困難(給付・相続・登記の不可逆性)

背後にあるネットワーク——“売国的構造”の匂い

個別事件に見えても、実態は「偽装婚仲介」「身分書類の手配」「海外送金」の国際的ネットワークが結びついた収益モデルである。国内制度の隙を使い、資産を国外へ流す仕組みは、結果として国益を損なう構造になる。

防御の三本柱——同時実装が最低条件

1. 家族通知

婚姻・帰化届の受理時に、戸籍上の直系親族へ自動通知。短期の異議期間を明記して透明化。

2. 暫定保全

相続・登記で疑義があれば、裁判所と登記所が短期凍結できる簡易手続を整備。

3. 監査ログ

戸籍・住基の変更履歴を改ざん不能で保存。名寄せエラー時の追跡と責任の所在を明確化。

運用統一

学校・医療・金融の本人確認フローを省庁横断ガイドで統一し、窓口裁量のローカル規則を排す。

よくある反論と要点回答
  • Q. 別姓=背乗り増加の証拠は?
    A. 因果を断定しない。本稿は「姓の分散→本人確認難化→例外処理拡大」で悪用余地が増えるという運用リスクを指摘。
  • Q. 排外主義では?
    A. 主語は国籍ではなく組織犯罪と制度の隙。防御設計の提案が主旨。
  • Q. 海外では問題化していないのでは?
    A. 欧米は個人単位登録が主流で、戸籍(家単位)と氏が相続・登記に深く関与する日本とは構造が異なる。

国際比較:氏と家族登録の違い(要点)

  • 欧米:個人単位登録が主流/別姓一般化/相続は氏でなく個人識別で管理。
  • 日本:戸籍(家単位)+氏の運用が相続・登記に深く関与。

読者への注意喚起(行動提案)

  • 家族で戸籍の定期確認(年1回)。相続は公正証書遺言信託で保全。
  • 不審な婚姻・相続勧誘、資金移動は金融機関・法務局・警察へ即相談。
  • 自治体の議会・委員会に対し、三本柱の同時実装を要望。

自治体への要望テンプレ(コピペ可)

「選択的夫婦別姓を導入する際は、家族通知・暫定保全・監査ログの三本柱を条例・要綱で同時実装してください。」

偽装婚→帰化→相続:資産流出の最短ルート(概念図)
偽装婚仲介 → 在留・永住 → 帰化 → 戸籍上の配偶者 → 相続発生 → 不動産・預貯金の移転 → 海外送金(発見は後手)

家族で今すぐできる3点

  1. 戸籍・住民票の定期確認(年1回)
  2. 公正証書遺言の準備/資産の信託検討
  3. 不審勧誘は記録→金融機関/法務局/警察に即相談

出典・参考

  1. [統計①:SNS型投資・ロマンス詐欺の発生状況(警察庁SOS47)]
  2. [統計②:家庭裁判所・司法統計年報(家事編)]
  3. [運用③:戸籍記載の正確性の担保(法務省PDF)]
  4. 参考:警察庁『令和6年における組織犯罪の情勢』(偽装結婚の具体事例記載あり)= PDF

結び

制度は“使う人の善意”を前提にしてはいけない。必ず悪用者は現れる。その時、穴だらけの制度は「理念」を裏返し、売国的な収益装置に変わる。選択的夫婦別姓を導入するなら、家族通知・暫定保全・監査ログの三本柱を同時に。それが、自由と平等を現実で守る最低条件だ。

著者プロフィール

河瀬昌良(古神道祈祷師/倭呼吸塾)。制度設計・相続防衛の市民啓発を実践。理念は「自由と秩序の両立」。

更新履歴

  • 2025-10-01 初版公開/出典リンクは自動置換機能で挿入(統計①・統計②・運用③

© 2025 河瀬昌良 / 倭呼吸(やまとこきゅう)塾。本文の無断転載を禁じます。引用は常識の範囲で可。

編集メモ:本文の [統計①] などの表記は公開時に自動でリンク化されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました