円安は悪なのか?――倭の視点で読み解く日本経済と復活の道
📌 円安は悪なのか?
ニュースではそう語られています。
しかし――それは本当でしょうか。
戦後360円から始まり、プラザ合意、バブル崩壊、民主党政権の超円高、そして今の円安150円まで…。
日本の歩みを「倭の視点」で見渡すと、数字の裏に「復活の道」が見えてきます。
1|戦後・360円の時代
敗戦後、日本は「1ドル=360円」の固定相場から歩みを始めました。円の安さは輸出を後押しし、工業製品を海外に売ってドルを稼ぐ「加工貿易立国」の形を作り出しました。そのドルで石油や穀物を買い入れ、国内の産業を育て、高度経済成長を実現しました。
しかし同時に、食料やエネルギーは輸入依存が強まり、農業は徐々に衰退。日本は「内需国」でありながらも「貿易国」としての顔を持つ二重構造を、この時に宿しました。
2|円高誘導と産業の空洞化
1985年、プラザ合意によって円は急騰。円高は一見「国力の証」に見えましたが、実際には輸出企業を直撃。工場は次々と海外へ移転し、中小企業や地域経済は衰弱。農業も国際競争に晒され、さらに衰退を深めました。
ここで日本は一つの教訓を得ます。円高は生活を楽に(輸入品が安く)するが、雇用と産業を削る刃にもなる――この表裏のジレンマが、日本を長く苦しめます。
3|バブル崩壊と「刷るな」の呪縛
90年代、バブルが崩壊。欧米は大胆に通貨を刷り、市場に資金を供給しました。ところが日本は戦後からの「お金を刷るな」という外圧・文化を守り、デフレに沈み込みます。賃金も物価も伸びず、企業は内部留保を積み上げる一方に。
その隙を突いて外資は日本の土地・企業を安値で買い叩き、国民自身も「円を売って外貨を買う」投資に走るように。かつての「製品を売って外貨を買った国」が、今や「自国通貨を売って外貨を買う国」へと逆転しました。
4|民主党政権下の危機(2009〜2012年)
超円高はついに70円台を突破、株価は7000円台まで暴落。輸出企業は壊滅的な打撃を受け、国内雇用は縮小、産業空洞化は極限に達しました。この時、日本人は気づきます――「このままでは日本がなくなる」と。ここで、円安による産業回復への渇望が芽生えました。
5|円安誘導と外貨投資の闇
アベノミクスで円安誘導が進み、株価は回復し大企業は最高益に。ところが東証大企業の株主の3〜5割は外資で、配当や自社株買いを通じて利益が海外に流出。本来なら国内に巡るべき富が外へ漏れました。
同時に、銀行・証券は外貨預金・海外投資を煽り、国民も円を売って外貨へ逃避。「円安で国富が安く買い叩かれ、円安で国民が通貨を弱める」という二重の闇の循環が完成してしまったのです。
6|現在・円安150円の時代と本質
いま円は150円前後。輸出企業とインバウンドは潤う一方、庶民の実感は「物価高」と「賃金停滞」。ニュースは「円安=悪」と叫びますが、本質は為替水準そのものではなく、“円をどう循環させるか・誰に行き渡らせるか”にあります。
円は血流、経済は身体。血が外へ漏れれば身体は痩せ、滞れば腐る。必要なのは国内へ血を通わせる循環の再設計です。
7|復活の道:倭の視点(自然と人を慈しむ循環へ)
- 円を売らず、活かす。 国民資産を外貨ではなく国内投資へ誘導し、円建ての取引・金融商品を充実。
- 農とエネルギーを再生。 輸入依存を減らし、食と命を守る。地域の仕事を生む自給の基盤を強化。
- 大企業の利益を波及。 賃上げ・国内調達・地域再投資の仕組み化で、中小・家計・自治体へ血を通わせる。
- 若者を要に。 デジタルと地域を結び、小さな循環を束ねる“ハブ人材”を育てる。
これは単なる経済政策ではなく、自然を慈しみ、人を思いやる「倭の精神」を土台とした再生の道です。
8|結び:精神と経済の調和――地方から崩れないために
円高は生活を楽にするが雇用を奪い、円安は産業を救うが生活を圧迫する。戦後日本を揺らし続けたこの二元論に必要なのは、為替の善悪ではなく「調和の循環」です。
いまこの循環を取り戻せなければ、まず地方から財政が疲弊・破綻し、公共サービスの縮退→人口流出→税収減という負の連鎖が加速します。これを断ち切る鍵は三つ――
- 循環を生む公共投資の再設計。 高度経済成長期に公共事業が地域の雇用・需要・技術基盤を押し上げた事実を踏まえ、現代は防災・水インフラ・エネルギー自給(再エネ・分散電源)・農林水産の高付加価値化・物流DX・医療介護基盤へ戦略投資。カネを「一過性のバラ撒き」ではなく、地域で回り続ける血流として設計する。
- 地方財政の体力回復。 大企業利益の地域再投資や国内調達比率のインセンティブで中小・自治体へ血を通わせ、税源を育てる。円は外に漏らさず、まず地域で回す。
- 人口増加・定着の総合戦略。 出生・子育ての実質負担を軽くする住宅・教育・医療のパッケージ、地方での良質な仕事創出(農とエネルギー・観光・製造のリスキリング連携)、U/Iターン・技能人材の地域定着まで含む設計。人が増えれば需要が増え、税が増え、循環はさらに太くなる。
日本人に求められるのは、精神の覚醒と愛国心の復活。自然と人を慈しみ、和を立て直すとき、円安は「悪」ではなく――日本復活への導きとなる。
次稿予告:地方財政の破綻連鎖を断つ「循環型公共投資」と、地域に人を増やす「人口戦略」を具体策で示します。
要点まとめ
・戦後:製品を売って外貨を得た/農は相対的に衰退
・円高:生活は楽だが雇用と産業が細る(空洞化)
・デフレ:「刷らず」に痩せた結果、外資に買い叩かれる
・民主党政権:超円高と株価暴落で国家存亡の危機
・円安誘導:大企業復活も、外資が利益を吸収/外貨投資が加速
・現在:円を売り外貨に逃避する国民構造
・未来:円を活かし国内循環へ――倭の思想で再設計
―― 倭呼吸塾 塾長のつぶやき
次稿:檄文と理念文を公開予定。精神と経済を結ぶ“旗印”を共に立てましょう。
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