まーちゃんのお酒の飲み方と倭の食文化思想

精神の道

序章:お酒を飲むという祈り ― まーちゃん流・命をいただく作法

お酒はただ酔うための液体ではなく、太陽と水と微生物が紡いだ「光の雫」。盃を手に取るとは、天地の循環に一礼して、その光を身体に迎える小さな祈りです。

まーちゃん:私はお酒が好きです。けれど、それは「命をいただく場」を大切にしたいからでもあります。

身体の声:ただ飲むのと、祈るように飲むのとでは、同じ一杯でも身体の響きが違うね。

① 倭呼吸と酒の理(ことわり)

倭呼吸では、「吸う」は迎える、「吐く」は祓う。最初の一口の前に、静かに呼吸を整えましょう。背筋をやわらかく伸ばし、肩の力をほどき、息の出入りが自然に深まっていくのを感じるだけで十分です。すると同じ一杯でも、酒が「入る」のではなく、光として身体に通る感覚へと変わります。

古(いにしえ)から人は、御神酒(みき)を捧げてから盃をいただきました。信仰の形式というより、「命の循環の中で光を分け合う」作法だったのでしょう。弥栄は音頭であり、同時に祝詞(のりと)でもあります。

② 光が液体になるまで(米・水・微生物の共演)

米や麦、果実は太陽の光を受け、水の気を宿し、発酵によって別の命へと変容します。酒とは、光が時間と手間という衣をまとって液体になったもの。香りは上へ(天)立ち上がり、味は喉を通って下へ(地)降りていく。盃の中で天と地が交わる瞬間、私たちは「中今(なかいま)」に立ち会います。

③ 酒は心を映す鏡

気が乱れている時の酒は苦く、心が澄んでいる時の酒は甘露(かんろ)のよう。外界は自心の鏡――その真理が最も素直に現れるのが酒席です。だから私は、楽しく、そして健やかに飲みたい。健康管理のためだけではなく、命の循環に感謝して飲むという生き方を大切にしたいのです。

今日からできる「迎え息」の作法(ゆっくり数呼吸)
  • 盃を持つ前に、背筋を整え、肩と顎の力みをほどく。
  • 鼻から静かに吸い、やわらかく吐く —— 息が自然に深まるのを感じる。
  • 最初の一口は急がず、香りを迎え、喉を通る気配を味わう。

④ 五感が祭壇になる瞬間

盃に注ぐ音、立ちのぼる香り、舌に触れる温度。五感がそろうほど、食卓は小さな神饌(しんせん)の場になります。「いただきます」は天地への感謝の息合わせ、「弥栄」は人と人の光を讃え合う祝詞。日常の一杯が、祈りの循環に還る瞬間です。

吸って迎え、吐いて祓う。盃は光の器、今ここは中今。—— まーちゃん

第二章:飲む前の呼吸、飲む時の祈り ― 体で味わう倭呼吸

一杯の前に「間」を置く。それだけで、酒は“取り込むもの”から“授かるもの”に変わる。呼吸が飲み方を変え、飲み方が生き方を変えていく。

まーちゃん:最初の一口の前に、静かに息を整えます。身体が「今ここ」に戻るのを待つんです。

身体の声:その“間”があるだけで、同じ一杯がやさしく身体に通るね。

① 迎え息で“場”をつくる

背筋をゆるやかに伸ばし、肩や顔の力みをほどいて呼吸を整える。これが小さな「迎え息」。倭呼吸は、食卓を祭場に変える。酒が光として通り、心の雑音が静まる。

② 食べながら呼吸する

唐揚げを一つ。香りを迎える瞬間、自然に吸い、噛みながら静かに吐く。吸う(迎える)― 噛む(整える)― 吐く(祓う)。食は呼吸の延長であり、呼吸は食の芯になる。

まーちゃん流・席でできる整え方
  • 乾杯の前に、ひと呼吸ぶんだけ沈黙を置く。
  • 最初の一口は香りを“迎えて”から喉へ。
  • 会話の合間に、箸を置いてひと息。過食の波が自然におさまる。

③ 酔いを呼吸で整える

酔いが速いとき、人は呼吸が浅くなる。そんな時こそ、吐く息をやわらかく長めに。からだはリズムを取り戻し、酒に“飲まれない”。楽しく健康的に飲む鍵は、呼吸にある。

息が整えば、場が整う。場が整えば、盃は祝詞になる。—— まーちゃん

第三章:食と光の循環 ― 「光を食べる」とはどう生きることか

人は光をそのまま食べられない。だから“光を身にまとった食材”をいただく。食べるとは、光を迎え、内なる火で灯し、やがて地へ返す循環のこと。

まーちゃん:トマトの赤、葉の緑、揚げ物の黄金色、味噌汁の湯気。ぜんぶ太陽と大地の記憶です。

身体の声:“光の多い一皿”って、たしかに色と香りでわかる気がする。

① 葉で受けた光を、私で灯す

植物は葉で光を受け、実に変える。私はそれを噛み、呼吸を合わせ、代謝という内なる火で灯す。光は葉で受けられ、私の中で再び灯る。これが「食と呼吸の循環」だ。

② 順番は光の通り道(トマト→揚げ物→漬物)

トマト(酸)が胃の火をやさしく点け、揚げ物が主役として入る。漬物や味噌汁(発酵)が後始末を担い、腸で光を再整流する。整えようと“頑張る”のではなく、整う流れに身を置くのが倭の作法。

今日の実践メモ

  • スターターにトマトや酢の物を少量。
  • 唐揚げはレモン・キャベツとセットで。
  • 締めに漬物+味噌汁で“祓い”を完了。

③ 海の守護:タウリンの青い光(イカ・タコ・貝)

イカやタコ、貝のうまみにはタウリンが宿る。肝を守り、胆汁の流れを助け、油の後始末を静かに進める。酒好きの頼れる相棒だ。

噛めば光がほどけ、息合わせれば光が満ちる。—— まーちゃん

第四章:倭の宴席 ― 調和と中庸の作法

宴席は“場の呼吸”を整える稽古の場。注文・配膳・ひと言が、みんなの体と心を同じリズムに戻していく。

まーちゃん:飲み会こそ小さな祈りの場。場の呼吸が整うと、みんなが楽に笑えるんです。

身体の声:たしかに“最初の一言”で空気が変わるよね。

① 最初の一杯は「迎えの息」

乾杯の前に、そっと呼吸を整える。天地と場を迎える小さな所作。これだけで、音頭が祝詞に変わる。

② 注文でリズムを組む

枝豆・冷奴で風を通し(吸気)、唐揚げや串カツで陽を出し(吐気)、サラダやトマトで巡らせる(調え)。注文は場の呼吸そのもの。私はこう切り出す——「まず枝豆と冷奴、それから唐揚げ。野菜も早めにください」。

テーブル設計のコツ

  • 中央に味噌汁(または温かい一品)=場の“炉”。
  • 右に緑(サラダ)、左に赤(トマト)=光の窓。
  • 奥に主役(唐揚げ・串)、手前に漬物=祓いの守。
  • レモン・生姜を小皿で用意=巡りの鍵。

③ 言葉もまた料理のひとつ

「今日は無理せず、飲むだけでいいよ。」この一言が、場の呼吸をゆるめる。静かな時は冗談を少し、騒がしい時は微笑みで鎮める。言葉は気の献立だ。

注文とは、気の設計。ひと言とは、場の味付け。—— まーちゃん

第五章:排泄もまた祓い ― 命が地に還る文化

出すことは、生命の循環を閉じる祈り。人は食べるだけで生きているのではなく、還すことで“生ききる”。

まーちゃん:息は天への挨拶、排泄は地への感謝。私たちはその間に立つ媒(なかだち)です。

身体の声:“出す”ことまで大切にすると、食べ方も自然に変わるんだね。

① 排泄は“地への呼吸”

食べた光を内で燃やし、残りを地へ返す。呼吸で天とつながり、排泄で地とつながる。これが命の往還だ。

② “肥やし”の知恵を思い出す

下肥(しもごえ)は、命を肥やす循環の記憶。便利と衛生の時代に忘れかけたが、自然葬や堆肥の再評価に、静かな回帰が始まっている。

今日からできる小さな“還す”

  • 食卓の「締め」に味噌汁・漬物で祓いを完了する。
  • 夜更けの過食を控え、体内の片付け時間を確保する。
  • 土に触れ、育て、返す —— ベランダの小さな鉢からでいい。

飲む・食べる・出す・還る。これはバラバラの行為ではなく、ひとつの祈りの連続。恐れず、詰まらせず、感謝して流せば、身体は本来の光へと澄みわたる。

今日もいい光をいただき、いい光を返す。—— ごちそうさまでした。まーちゃん

コメント

タイトルとURLをコピーしました